季節外れの‥‥5

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いきなり義行が立ち上がった。俺の肩を掴み、 「屁理屈やン。向こうからゆうてンやろ!迷惑な事あらへんって!それに会った事のない奥さんの事なんかほっといたらええやン。」 一気に捲し立てたせいで、肩で息をしている。 「‥アイツが選んだ人やから ‥アイツを選んだ人やから‥ きっとええ人やねン‥。 きっと俺よりもアイツの事を‥‥」 そこまでゆうと声が震えて、あとが続かない。 肩に置いた手を離して、 「じゃぁ‥、 何で向こうは会いたかったってゆうたン? 何で朝晩電話あるン? 何で会いたいってゆうン? 何で話したいってゆうン?」 ゆっくりと問いかける。 「全部会って訊かなわからへんやろ‥色々あんねんて‥先生いつもゆうてるやン‥、会うだけでも会いや。」 そうかもしれん‥ 「けど‥ホンマに迷惑や「ない!」」 言葉を遮る。 「なんの問題もない!先生からゆうてないやン。相手もそんなん全部考えてゆうてるって。大丈夫!」 ニッコリと笑って背中を押してくれる。 きっと俺一人やったら、会いに行く自信がなかった。 「ありがと、会ってみよか‥」 「ほなっ、電話したら?僕外に居るから」 保健室を出ていくのを止めて、 「かけへンよ。」と笑ってゆう。 「‥?」不思議そにする義行に 「アイツの電話は昔から用件のみで勝手やから‥放っといてやンねン。」 「そんなんして後で後悔すんで?」 「大丈夫、キレてまた電話してきてくるから。」 照れた笑いをすると、‥かけひきしてるやんと笑う。そして、 「なんや、最初から会うつもりやったンやろ。」と、からかう。 「ちゃうし、義行が話訊いてくれたから決心がついてン。」 小さく、ありがと‥と呟いた。
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