季節外れの‥‥6

3/8
前へ
/343ページ
次へ
「‥先生、徳一の初恋の相手な訊いたねん‥お父さんなんやって‥」 「‥フーン、そうなんや‥」 まだ、真意がわからない。 少し涙声で 「なっ‥勝たれへンやろ‥」 「ちょっ‥なんでそうなる?」 真剣な表情で睨むように俺を見る。 「ホンマに調査票見てないンやな‥徳一とおじさんは‥‥」 と言いかけて、呆れた顔になり 「止めとこ、こんなんバラす事と違うし‥、僕もまだきちんと教えてもらってへんし‥」 また俯く。 「どういう事なん?俺、話が全然みえへンけど、」 「アハハー、そやろね、僕にもわからへん。けど、絶対に勝たれへンって事はわかってる‥‥」 「‥義行、泣くなや‥大丈夫やから‥」 「‥?」 顔をあげて初めて自分が泣いているのに気づいたようだ。 ポロポロと膝の上に落ちてゆく。 そっと手のひらで背中をさすり、 「何があったんや?」 もう一度訊く。 服の裾で拭いながらゆっくりと話し出す。 「僕って‥おじさん居らへん時の代わりなんかなって‥」 「言われたンか?それとも、思っただけか?」 黙りこんで先が続かない。 根気よく待つが言い出しそうにもないので、 「俺から見てたってお前にべったりやと思うけどな‥」 そうゆうと、 「今まではな‥この間からおかしいねん‥」 「どんなとこが?‥」
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加