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また、ぽつりぽつり話し出す。
‥おじさん仕事行く前に徳一が怒らしてしもたンよ。一応謝ってたけどな。
凄く心配して、まだ怒ってるかなって、
おじさんの様子も普通やなくて‥
その上、1週間の予定が長引ィて帰って来んかってな‥
今日の昼にメールがあったんや
《今日帰る》って‥
滅茶苦茶嬉しそやねン。
いっつも嫌がるくせに‥僕と居らへんようになるからって嫌がるくせに、
僕に嬉しそに話すねん‥夜御飯何にしよかなって。
何時ごろやろ‥って
つい、嫌味で「嬉しそやね」ってゆうてもた。
「おんっ、訊きたい事があるから。」って幸せそに笑うねん‥
僕にはあんな笑顔させてあげられへン‥
それで、
鼻をすすりながら、続けた。
うまい事よう話さんけどな‥‥
先生の気持ち訊ィとったら、僕はまだまだ子供なんやなぁって‥
先生くらい大人やったらおじさんに勝てンのにって‥
俺の顔を真っ直ぐに見て、
「相手の事を先に考えて自分の気持ち後回しに、何でできるンやろか?僕には出来ひん。‥全部ぶつけてしまいそになる‥」
そう言ってまた俯く。
そこまで訊いて、俺は、
「でけへン事ないやン。現に今義行は徳一の事一番に考えて悩んでるやろ?大事にしてるやん。」
えらい、えらい、と子供の頭を撫でるようにして、
「初恋の相手とかそんなん昔の話やろ。今は義行の事好きやから、素の自分をさらけ出してるンやろ。」
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