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「素‥って?」
「ありのままの自分や、徳一が怒らしてしもたンやろ?仕事も長引ィて帰ってけェへンかったンやろ?」
うん、と頷きながら訊いている。
「不安やし、淋しいし、心細いよな。それをお前の前にさらけ出したンや。格好悪い自分を‥」
わかるか?と尋ねる。
「‥徳一な、ずっと眠れてないねン。一人になるのが嫌でずっと僕に傍に居ってて‥ってゆうねン。」
それを訊いて安心して、
「そっかァ、きっと徳一はお前と気持ちを共有したがってンやな。嬉しい事も、哀しい事も、辛い事もみんな‥」
キョトンとした顔で俺を見る目尻にはまだうっすら涙が溜まっている。
「あのな‥簡単にゆうと、義行の性格からして情けない姿をどんなけみせれるかってのは、どんなけ気を許してるかや。」
涙で潤んだ目を俺に向けて、
「ホンマにそうなんやろか‥」
ポンッと頭に手を置き
「後は本人に訊けばええ。大丈夫やから‥多分、徳一もお前に訊きたい事あると思うで、」
そう言うと笑いがこみ上げてきた。
「?‥何で笑うン。」
「いやな、お前の話訊いてピンっときたんやけど‥アイツ俺の歳ばっか訊くやン。ヤキモチなんやなぁって」と言い、吹き出してしまった。
「マァ、顔を見る度に訊いてるけど、」
「アハハー、あのな、アイツの初恋オヤジさんやろ?俺が同じ歳やったら恋愛対象になるって思ってンやで、義行が俺の所に入り浸りやから心配なんや‥アホやなぁー」
「嘘やん///‥」
ひとしきり笑った後で
「マァ今日の帰りにでも訊いてみ。きっとそうや。
やから、心配要らんて代わりなんかやない。」
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