季節外れの‥‥6

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保健室に戻ると二人とも照れ笑いを浮かべている。うまくいったようだ。 机の上に置いたままの携帯を手に取ると、井本に電話をかけはじめる。 義行と徳一の方を向き、 「さぁ、お前らも早く帰りや。カギかけんで。」 「先生、ありがと。」 「イヤ、ええよ。仲良くしィや…」と、言った時に留守電に切り替わる。 無機質な声を聞きながら、片手でシッシッと外に行くよう合図を送り、 「ゴメン、俺やけど今日はアカンようになった。‥‥じゃ。」 電話を切って留守電で良かったと思う。余計な説明をしないで済む分、気持ちがざわつかないで済む。 中途半端に意識しないよう、携帯の電源を切る。 後ろから義行が心配そに 「先生‥」 「まだ居ったンか、ホンマに早よぉ帰りや。」 新しいファイルを用意して鞄に詰める。 着替え始めながら、何か言いたげな義行に 「気にすんな、俺これから仕事やからな、しゃぁないねン。」 俺より哀しそうにみえる。 義行の前で電話したのを後悔した。 「わかった‥ほなっ帰るわ。‥また今度話してや。」 「‥おん、気ィ付けて。」 二人が出て行った後に ‥俺自身かて次がある自信ひとつもないけど、 アイツやったらきっとわかってくれる。 だから迷わんと断りの電話をかける事ができたンや… 大きく深呼吸をして気持ちを切り替える。 「ヨッシャ、いこか。」 鍵をかけて職員室に向かう。
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