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石段を下りながらぼんやりとしていた。
変わってなかったンは俺かな‥
大学ナンか行かんかったらよかったかな‥
‥仕方のない事や‥裏切られたんとちゃう
《忘れろ‥》って言われたやン
でもな‥何で《ごめん》やねん。
少しでも俺の事待ってくれてたんやろか‥
‥黙ったままやと後味悪いからかな‥
考えながら知らず知らずにアパートにつくと、荷物を解き、部屋の片付けを始める。余計な事を考え無いように‥
けど、おんなじ考えばかり浮かんでくる。
‥しゃぁない事やねん
わかってた事やン‥けど、
どっかで期待してたんかもな
劇的な再会‥ドラマみたいなもんを
「はぁ‥まっ 有りがちな話や‥」
声に出して自分に言い聞かせる。
「新学期から忙しなんのにアカンやん」
言葉にすると少し気が楽になる‥気がする。
自分の気持ちは決まっているのだから、ウダウダ悩まない。お前と出逢った事を、ただ憶えていたい。どんな些細な事も全て。
《幸せになって欲しい》ソレは嘘やないけど、《ごめん》って事は気にかけていてくれたンやろ。その事実だけで充分俺は幸せや。
お前の全てに俺は生きてる様なもんやから
「そうやんなぁ!無理に変わらんでもええ
やンな!立ち止まったらアカンやんな!明日
は必ず来る!
結婚してても、してへんかっても自分の
気持ちやン。関係あらへんわ!」
言いながらも
(‥女々しいな‥‥)
それでも俺は俺やから
(‥しゃぁないわ)
乾いた笑いが口から洩れた‥
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