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リビングのソファーに深く腰掛け、昔を思い出す。
‥そういや、いっつも俺から誘ってた気がすんな。
俺と出逢って、アイツの人生無茶苦茶にしたンやろか?
もしかすると、俺が泣かしてばっかでアイツを苦しめてンやろか?
頭ン中が涙を堪えたアイツの顔で一杯になる。
藤原と離れてから12年間、アイツと俺はどこかで呼びあってたンやろか?
俺は、そう思いたいねん。
高校の時は、一番近くに居れるだけよかった。それやのに、俺はアイツに大学行きを勧めた。
最後の夏休みなんかずっと図書館通いやった。元々、賢いヤツやったからやる気さえ出せば集中力が違ってた。
その傍で邪魔にならんようただ見守るしかなかった。
ノートに書き込み、参考書に眼をやる。そのひとつひとつの仕草が大好きやった。
シャーペンを指で廻す。
前髪に沿わすように指で弄る。
頬杖をついては考え込む。
時折訊こえる、低い声。
俺をみて、フワッと日だまりのように微笑み
「退屈やろ?」って顔をクシャクシャにして笑う。
‥あの時間がずっと続く気がしてた。
模試の前には必ず俺に
「A判定やったら、井本デートしてや。」
抱きしめながらゆうてくれた。
とても力強くて、苦しくて、切なくて‥‥
‥胸に突き刺さる‥‥ぬくもり
‥離したくなかった、ずっと感じてたかった。
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