季節外れの‥‥7

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「なんやねンな。」立ち止まって笑うと、 「‥わかってるくせに‥」拗ねた口振りでボソボソとゆう。 「折角出て来たんやし、キタ行く?ミナミ行く?」 肩を並べて歩きながら尋ねる。 「‥俺、よう知らんからまかす‥」 「じゃぁ、希望はどんなとこがええ?」 「‥二人きりに‥‥なれたら‥それでかまへん‥‥」 消え入りそな小さな声が震えていた。 アイツの言いたい事が痛いぐらい伝わる。俺もおんなじ気持ちやし、早く抱き締めたかった。 人の疎らな川沿いを二人で歩き、一番人気の少ない青い地下鉄に乗り込み、ミナミに向かった。駅からあがると言わずと知れたホテル街。 人通りの途切れたところで中に入り、適当に部屋を選ぶ。 エレベーターで俺の陰に立つアイツが可愛くて、チョイチョイと指で呼ぶと恥ずかしそに前髪をいじり横に来る。 二人で手を繋いだまま部屋に入る。 「うっわぁー、こんな緊張したンは初めてやンなぁ。」そう言ってアイツを見ると、 「‥ぉん‥」入り口で俯いたままで突っ立っていた。 「大丈夫やょ、もう二人きりやし、いつものまんまでええって。」 ソファーに座ってサービスの一覧をみて、 「出前あるけどなんか食う?」 「‥ぉ‥ん、なぁ、やっぱり俺‥なんか‥な‥」 言葉に詰まり、突っ立ったままで震えている。 傍に行き頭をヨシヨシすると、床に涙がポタポタ落ちる。 「大丈夫やから‥怖かったらなんもせんでもかまへんし、TV観てカラオケして騒いだらええやン‥ゲームもあるみたいやし。‥‥正直、俺は二人で居れるだけでええから、泣かんとって‥」 「‥ちゃ‥ちゃうンや、俺なんか‥で、ホンマにええンか?‥こんなに、女々しいし‥暗いし‥‥鬱陶しいし‥‥‥‥男やし‥」 「でもお前は‥藤原やん。俺が好きな藤原やから‥お前がええ‥ってゆうより、お前しかアカン。お前しか見えてへん。」 抱き締めると肩に顔をうずめて泣きじゃくる。 大きいアイツが小さく思えて、可愛くて切なくて胸が痛いぐらい切実に離したくなかった。
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