季節外れの‥‥8

3/19
前へ
/343ページ
次へ
フワッと微笑ンで 「咎めるとか、付き合うなとか、今はまだそんなんやない。‥‥ただ、大事な話があるんや。」 「‥‥‥」 言い出し難そうに、黙ったまま俺を見てる。 「‥徳一からは何もまだ訊いてない、けどな、お前の事が好きやと自覚もしてるようやし‥アレは恋愛感情やと思てる。‥」 徳一を無理に押し付けようと思てないで‥と念を押す。 それを聞いて、 「僕も徳一が好きです。こんなことゆうたらアカンかも知れんけど、たとえ、おじさんが居らへん時の慰めやったとしてもかまへんぐらい‥‥傍におっててやりたい。」 「‥?それは、どうゆう意味なんやろか。」 「徳一がおじさんの事を一番好きなん知ってます。僕なんかじゃ、足元にも及ばんくらい‥」 声が震えて最後は言葉になっていない。手をきつく握りしめ白くなり小刻みに震えている。 「ウーン‥、そうかな、俺に対する《好き》と義行に対する《好き》は、意味合いが全然ちゃうよ。やから、比べたらアカン。」 「けど‥クッ‥」 言葉に詰まって俯く。 余りにも純粋で、真っ直ぐで、真面目で、 ‥どんなに言葉で表しても、行動で示しても、目の前に居るときは信じられても、離れると不安で ‥形のないものを信じたいのに疑ってしまう。 ‥心の弱さを感じた―… 「告白、したン?」 「はい。」 「喧嘩は?」 「えっ?あァ‥したことある。」 「そやな、義行は徳一の事を信じてやれる?」 「はい。それは絶対できる。」 はっきりと答えて、嘘はないみたいや。 「そっかぁ‥なら、安心やな。こっからは三人で話しよか、‥」 肩をポンッと叩き上着を取りに部屋に向かう。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加