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フワッと微笑ンで
「咎めるとか、付き合うなとか、今はまだそんなんやない。‥‥ただ、大事な話があるんや。」
「‥‥‥」
言い出し難そうに、黙ったまま俺を見てる。
「‥徳一からは何もまだ訊いてない、けどな、お前の事が好きやと自覚もしてるようやし‥アレは恋愛感情やと思てる。‥」
徳一を無理に押し付けようと思てないで‥と念を押す。
それを聞いて、
「僕も徳一が好きです。こんなことゆうたらアカンかも知れんけど、たとえ、おじさんが居らへん時の慰めやったとしてもかまへんぐらい‥‥傍におっててやりたい。」
「‥?それは、どうゆう意味なんやろか。」
「徳一がおじさんの事を一番好きなん知ってます。僕なんかじゃ、足元にも及ばんくらい‥」
声が震えて最後は言葉になっていない。手をきつく握りしめ白くなり小刻みに震えている。
「ウーン‥、そうかな、俺に対する《好き》と義行に対する《好き》は、意味合いが全然ちゃうよ。やから、比べたらアカン。」
「けど‥クッ‥」
言葉に詰まって俯く。
余りにも純粋で、真っ直ぐで、真面目で、
‥どんなに言葉で表しても、行動で示しても、目の前に居るときは信じられても、離れると不安で
‥形のないものを信じたいのに疑ってしまう。
‥心の弱さを感じた―…
「告白、したン?」
「はい。」
「喧嘩は?」
「えっ?あァ‥したことある。」
「そやな、義行は徳一の事を信じてやれる?」
「はい。それは絶対できる。」
はっきりと答えて、嘘はないみたいや。
「そっかぁ‥なら、安心やな。こっからは三人で話しよか、‥」
肩をポンッと叩き上着を取りに部屋に向かう。
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