雪が降る。

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つもっていく、 降りつもっていく、 雪のように。 その冷たい結晶が、小さな手のひらに降りてきて とけてしまった。 街は人の群れ あたたかい衣を纏い 通り過ぎていく 私だけが群衆の中でひとり、 冬の空を見上げていた。 ひらり、ひらり。 降りつもる雪は 人の罪であり、 血であり、 命であり、 そして私の涙の代わりなのだと知る。 この街のように 心さえも白く染まったなら いいのに。
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