序章 損失は幸運に痛し

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何も考えないようにジッとしていること約十五分。 ペタペタとある足音が聞こえた。 風呂から帰ってきたのだろう、と、あまりに気にはしていなかった。 ……が、 「下着忘れちゃった」 「ぶッ!?」 「ど、どうしたのよアンタ」 そう言う由花梨の姿は、濡れた短髪とバスタオル一枚だった。 これを見て、思わず吹き出してしまったのである。 「まさかアンタ、私のバスタオル姿見てコーフンしてんの気持ち悪い……」 「ち、ち、違いますよ!!」 「あー分かったから。分かったから出てけ。着替えるからさ。ついでにお風呂入ってきてよ」
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