序章 損失は幸運に痛し

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一応の対策として眼を静かに瞑ったその時だった。 「……ねぇ、眠れないの?」 と、ベッドの方から由花梨の声がしたのである。 「ま、まあ、な……」 「大丈夫? 明日は鍵屋にでも電話してあげるわよ」 「あ、ありがとう」 そこで一瞬会話が途切れた。だがまた由花梨が口を開く。 「あの、さ。アンタは好きな子とかいんの?」 「は、はァ? いるわけねぇよそんなの」 「そうなんだ……」 「なんでそんなコト訊くんだよ」 「だって、アンタまだドーテーなんでしょ?」 「グッ……」 「可愛そうに、最近の子は中学には卒業してるってのに」
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