序章 損失は幸運に痛し

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しかし、このまま野宿という訳にもいかない。 鍵を何処かに保管すればばよかった、と今頃後悔する。 帰宅を諦めかけたその時だった。 「……光夜?」 突如後ろから声が掛かったのである。 「ん? 誰だ?」 光夜はその声の方に身体を向けた。 するとそこには、 「山瀬?」 そこには、同級生で幼馴染みの山瀬 由花梨(やませ ゆかり)がいたのだ。 「どうかしたのか、こんなところで」 「それはこっちのセリフよ。なんでこんな時間にアンタがここにいんのよ」 「あ、ああ。鍵を、無くしてな……」 「鍵……?」
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