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「菜摘ちゃん…?」
私が問いかけると菜摘ちゃんはハッとして私から体を離す
「…ううん、何でもない。それよりね季結、来てくれたのは嬉しいんだけど帰ってくれないかな」
「え…?」
帰れと言われ不安になり菜摘ちゃんを見上げる
「…ほら、私そんなに怪我してないけど少しは傷あるからさ。季結にはこんな私見られたくないの。季結が迷惑とかじゃなくてね、私の我が儘」
迷惑じゃないと言われて不安が薄くなる。確かに、私だって自分が怪我をしたら心配をかけたくないから見られたくないのかもしれない
「あ…ごめんね気付かなくて…私、早く菜摘ちゃんの所に行かなくちゃってそればっかりで…」
「季結が私をそんな風に心配してくれるのは凄く嬉しいよ、でもごめん。今日は帰って?本当にごめん。」
私を宥めながら、傷付けない様に言葉を選びながらきちんと気持ちを伝えてくれる
菜摘ちゃんに気を遣わせている気がして無性に自分に腹が立った
「…また、明日…来てもいい…?」
断られるのではないかと不安を抱きながらも聞いてみる
「勿論だよ」
菜摘ちゃんは優しい笑顔でそう言ってくれた
「それじゃ…また明日来るね」
「うん…待ってる」
私はなるべく音をたてないように扉を閉めた
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