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嵐くんは私の前まで来ると歩みを止めた
微笑を浮かべながら私を見下ろす
私は意を決して口を開く
「…嵐くん、季結のこと好きなの?」
「そうなら?」
「もしそうなら…私のこと階段から突き落としたの、嵐くん?」
嵐くんの表情は変わらない
「どうしてそう思うの?」
「私が邪魔だから」
気付いてた、昨日季結が私と楽しそうに話してるのを嵐くんがずっと見ていたのを。その感情の無さそうな瞳は季結だけを見ていた
「酒井さんは…季結ちゃんのこと、好きだよね」
突然、嵐くんが言った
「…好きだよ?当たり前じゃん、友達なんだから」
「“友達”としてじゃなくて “女の子”として?」
「な…っ」
誰にも言ったことのない気持ちを言い当てられた
「…見てれば分かるよ」
…私は季結のことを恋愛対象として好き…勿論、友達としても好きだけどいつの間にか季結を恋愛で好きになってしまっていた
ギリッ
「!?」
嵐くんが急に私の右腕を力強く掴んだ
「痛…っ」
ギリギリ…
怪我をしていることが分かっているのか執拗に右腕を捻る
「ここ、怪我してるよね。季結ちゃんには言わなかったんだ…」
「…っ」
私は右腕を怪我しているのを誰にも言っていない、唯一分かるとすれば…
「やっぱり、嵐くんが…きゃ!?」
嵐くんは私の腕を引っ張り私を立たせて窓に押し付ける
「…階段から落ちただけじゃ、駄目かあ…やっぱり屋上位高くないと…」
「っ!?」
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