9830人が本棚に入れています
本棚に追加
/713ページ
祐士さんが言葉を発するのを
皆が静かに待っている。
そんな中、穏やかな口調で祐士さんは言葉を紡ぎ始めた。
「はる…
これから先の未来を私にくれませんか?
楽しい事ばかりとは言い切れません。辛い事もあると思います。
それでも共に歩んで行きたい。
苦しい事を乗り越えた先で共に笑い合いたい。
はると支え合って生きたい。
幸せも哀しみも一番に分かち合いたい。
だから…私の隣にこれからもずっといて欲しい。
私と…結婚して下さい」
「………っ……」
『はい』と言いたいのに
溢れ出る涙と、嗚咽が出てしまいそうで邪魔をする。
両手で口を押さえて何度も頷いた。
「頑張って!」
「あと少しがんばれー!」
涙が止まらない私にエールが贈られてくる。
深く呼吸をして、溢れ出る涙をどうにか堪えた。
12色の薔薇のブーケを受け取り、一輪だけ抜き取って祐士さんの胸元に挿した。
真っ赤な薔薇──
愛情をあなたに…
祐士さんが立ち上がり、私を抱き締めてくれた。
「ありがとう」
そして誓いのキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!