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訳が分からない。
突然キスされて抱き締められてる意味が。
危機感が足りないと教える為?
…そんなのあり得ないか。
じゃ…何で?
そんなことを考えてると、課長が私から離れた。
「家まで送るので支度をして下さい。そんな顔をしてると次はホントに襲いますよ?」
「っ!!」
顔が急速に赤くなったのがわかる。
「すっ…すす直ぐに支度します!」
そんな顔がどんな顔だか分からないけど、今の課長なら本当にやりかねない。
慌てて鞄を持ち、クスクス笑ってる課長を無視して忘れ物が無いか確認した。
課長のあんなに柔らかく微笑む顔は初めて見た。
整った顔立ち、眼鏡の奥には涼し気な瞳。
いつもは口を固く閉じ、眉間には皺で。
仕事中だから当たり前だけれど、難しい顔をしてるのがほとんどで笑顔なんて見た事無い。
かなりの仕事人間。
そんな気難しい課長だけれど、人気があるらしく頻繁に誘われてるとか聞いた。
そんな課長が何故、何で私なんかに構うのだろう。
いくら考えてもサッパリ分からない。
それにしても課長の家は広い。
先程まで居た寝室の他にも部屋があった。
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