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アパートの前に車を寄せてもらい、すぐに切り出した。 「今日はどうもありがとうございました。では、失礼します」 そう言って頭を下げてドアを開けようとしたのに。 急に腕を掴まれた。 「今日は遅くまで連れ回してしまってすみませんでした」 「いえ、そんな、こちらこそご迷惑をおかけしました」 課長はまだ手を放してくれない。 掴まれてる所が熱く感じる。 課長を見れば笑みが消えていて。 私は自分で気付かない内に何かしてしまってたのだろうか。 「あ…あの?」 「私とお付き合いして下さい」 課長のいきなりの言葉に、 一瞬、頭の中が停止した。 「……へ!? な…何を言って…」 目が無意識にあちらこちらへと泳ぐ。 いきなり何を言ってるんだろうか。 また私をからかって遊んでるのかもしれない。 そう思って課長を見るも、 ドキッとする程に真剣な目をしていた。 「聞こえませんでした?私とお付き合いし…」 「そっ…そうではなくて! 何故私なんですか?私じゃなくても……」 そう、 私じゃなくても。 課長を狙ってる人は沢山いる。 課長はモテるのだから。 魅力的な人だって沢山居るのに。 何で私なの? 「私は宮間さん、あなたに言ってるんですが」 先程から変わらずに真剣な眼差しで私を見ている。 その目のせいで私の胸はドキドキしてしまっていた。
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