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カラランと、店の扉を開けて私が先に入った。それに気付いた悠さんが、カウンターの中から振り返る。
「あ!遥ちゃんいらっしゃい!」
「今晩は」
「あ、今日はテーブル席にしとく?」
私の後ろに居た美咲さんに気付いたらしく、テーブルに案内してくれた。
思えばテーブル席は初めてかも。
いつもカウンターだったから。
「美咲さん、ここ、パスタがお勧めですよ!いつもはマスターのお任せでお願いしてるんですけど、何か食べたいのあります?」
私がそう言えば、美咲さんは曖昧に微笑んだ。
「宮間さん、その…敬語やめて頂けるかしら?こう見えても私、貴女と同い年ですのよ?」
………同い年?
「ええっ!?」
思わず驚いてしまった。
ずっと、美咲さんは私より上だと思ってたから…
「正直な方ですわね。そんなに老けて見えるかしら?」
小さく笑った後に、意地悪な笑みを浮かべた。
「いや、あの…そう言うんじゃなくて…その…落ち着いてるからてっきり…え~と…」
フォローのしようもない位に、しどろもどろ。
これじゃ肯定してるみたいじゃない…
誤魔化す様にお冷やを一口飲んだ。
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