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「……今回は色々とご迷惑をお掛けしましたわ。その…無我夢中でしたの。形振りなど構ってる余裕など無くて…失いたく無くて…
どうにか分かってもらいたくて…周りの事など殆ど見えてませんでしたわ。
上手くいかなくて歯痒くて…
なのに、幸せそうな貴女を見たら…理不尽に思えてしまって…
祐士兄さん…いえ、部長に大切に想われてるだろう貴女が…
悔しくて八つ当たりするかの様な態度をしてしまいましたの。
貴女も苦しめば良い…と。
ホント…最低ですわね」
自嘲気味に美咲さんは笑った。
その姿は本当に反省してる様に見えた。
「許してほしいなんて烏滸がましい事は言いませんわ。
ただ、貴女には話しておかなければと思ったの。
どうしようもなく滑稽で不様な私が、周りを巻き込んでまで取った行動の意味を…」
真っ直ぐに私の目を見つめて、どんな罵声をも受け入れる覚悟をしたかの様な顔をしている。
黙って聞いていた私の心は荒波立つどころか、穏やかなままだった。
けれど、許せないというのも確かにあって……言葉に迷う。
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