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美咲さんは私をじっと見据えて待っている。
ちゃんと向き合って話してくれたのだから、私もそれに応えようと思った。
どうやら美咲さんの中では、私と祐士さんが付き合っている事は確定らしいので…
軽く深呼吸をして、ありのままの心境を伝える。
「正直な事を言えば、相羽さんのした事は許せないですよ」
ピクリと、テーブルに乗っている美咲さんの手が動いた。
表情は変わらなかったけれど、動揺したのが分かった。
「けれど…その気持ちは分からなくもないから…だから、ちゃんと幸せになって下さい。
私は詳しい事情は知らないし、分からないけど……けど、柏木支社長とちゃんと幸せになって?」
そう言って首を傾げた。
もしかしたら私は微笑んでいたかもしれない。
ここまでの事をしてどうしても手に入れたかった人。それをそう易々と諦めて手放されても困る。
別に謝って貰わなくてもいい。
その人と幸せになってもらえればそれで良いと思えた。
「とんだ…お人好しですわね」
少し驚いた顔をした美咲さん。
その瞳は少し潤んでいて、すぐに伏せられた。
「……ありが…と…」
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