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小さく呟かれた声は、ハッキリとは聞こえなかった。
「え?なに?」
「な、何でも有りませんわ。
それより、その、相羽さんってどうにかして下さる?今はプライベートですわ」
照れを誤魔化す様な美咲さんのその態度が、先程の言葉は感謝の言葉で間違いなかったと思えた。
「…じゃぁ、美咲さん?
私の事も下の名前でいいよ?」
「ふふっ…それもそうですわね。
では、遥さん?」
何だか同い年なのに、名字から名前になったものの…2人でさん付けで呼びあってるこの可笑しな感じに笑いが込み上げてきた。
「それではまた明日ですわね。
お休みなさい」
「お休みなさい」
悠さんの店の前で別れた。
支払いは美咲さんがしてくれた。
せめてもの罪滅ぼしをさせて下さる?と、困った様な顔で言ってきたので、お願いした。
律儀な人なんだ…
明日からはきっと、美咲さんと普通に接する事が出来ると思う。
何だか心がほっこりしてきて、早く祐士さんに会いたくなってきた。
駅までの道のりを、少しだけ足早に向かった。
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