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バッグから鍵を取り出し、ゆっくりと開ける。 「ただいま」 祐士さんは接待だから、まだ帰って来てはいない。 合鍵で何度か主の居ぬ間にお邪魔した事はあるけれど、引っ越してきて初めて一人で帰って来た。 そう、帰って来た。 それの響きが、何だか少し擽ったく感じる。 祐士さんも接待で食べてくるだろうから、先にお湯を溜めて湯船に浸かった。 脚の浮腫を和らげる様にマッサージして。 お風呂から上がって、髪をタオルドライしていたらチャイムが鳴った。 祐士さんだ! 扉を開けて、祐士さんを迎え入れる。 「お帰りなさい」 自然と顔は口元が綻んでしまう。 祐士さんも笑顔で応えてくれる。 それにまた心が癒されて… 「ただいま」 その言葉を聞けば、髪がまだ濡れたままだというのに、祐士さんに抱き付かずにはいられなかった。 祐士さんも腕を回してギュッと抱き締めてくれる。
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