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祐士さんの元までゆっくりと歩んでいく。
いきなり過ぎて驚く事ばかりだけれど…
慶びの方が勝っていて。
みんなで内緒にしていた事や
この日の為に集まってくれた事。
何より、ずっと一緒に居たのに
祐士さんにそんな素振りが全くなく、見事にサプライズに嵌められた事。
けれど、ドレスは自分でお気に入りを選べた事。
色々と頭の中を駆け巡る。
祐士さんの前まで来て、智が私のベールを上げてくれた。
そして祐士さんの方を見て笑う。
「さっさと実感させてあげて下さいね。今の今まで信じてませんでしたから」
「ふっ…分かりました」
少しだけ和らいだ表情。
こんなに大勢の前で、祐士さんの顔が柔らかくなるのを初めて見た。
智が私から離れて、祐士さんが私の目の前に来た。
そして、方膝をついて薔薇のブーケを私に差し出す。
祐士さんの瞳は真っ直ぐに私を見つめている。
真剣な瞳の奥には…
優しくあたたかな光が見えた。
ドキドキと胸の鼓動は激しく響いている。
緊張と恥ずかしさと期待とで…
少し息苦しくも感じる。
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