失われた帰り道

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俺はポケットからスマホを取り出して遥人に電話を掛けようとしたが、電波が圏外だった。 俺「ダメだ……電波が圏外だ」 仁美「わ、わたしの携帯もダメみたい」 佳奈「私も……圏外だ」 俺「車の中では電波あったのになぁ……」 仁美「もぉ、意味わかんない」と仁美は近くにあった大きな石の上に座り込んだ。 佳奈「疲れたねぇ」佳奈も樹木を背にしてしゃがみ込む。 二人とも座り込んでしまったので俺もその場にあぐらを組んだ。一本道が故に道を間違ている可能性はほとんどない。それなのに一向に元いた場所に辿りつけない……そして、さっき俺がつまづいた木の根っこ。冷静に考えれば考えるほど気持ちが悪くなった。 佳奈「ねぇ……月の色がオレンジ色になってるよ」 佳奈に言われたので月を見上げると、確かに月の色がオレンジ色に染まってきていた。 仁美「なんか……気味が悪い……早く帰らなきゃ」 佳奈「そうだ。一応写メっとこう」と言って佳奈はスマホを取り出す。 佳奈「……なに……これ??」スマホのディスプレイを見つめる佳奈の顔が引きつっていた。
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