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俺「今度はどうしたんだ」もう勘弁してくれと思いながらも佳奈の元に近寄ってスマホを覗き込んだ。
スマホの画面には、白黒映像で古臭い集落のような物が映されていた。
仁美「なに、これ、Youtube?」
佳奈「違う……画面にタッチしても操作できない」佳奈は泣きそうな声をしている。完全に怯えている。
画面は集落から切り替わり、何処かの家の中で男が二人いる映像になった。一人はシルクハットを被りスーツを着ている紳士風の男だ。
シルクハットの男と頭の禿げた中年の男が何やら話しているが音声は出ていないので会話の内容はわからない。
俺たち三人は無言で佳奈のスマホを見つめている。
シルクハットの男が何かを取り出して中年の男に手渡した。中年の男はそれを受け取ると何処かへと消えていった。
するとシルクハットの男が、まるで画面の中から俺たちを見るように向き直った。
仁美「ひっ!」
佳奈「もう……嫌っ!」佳奈はスマホを俺に押し付けてきた。
こちらを向いたシルクハットの男の顔。その瞳は白目の部分が無く全てが黒目だった。そしてまるで俺に笑いかけているように口角を上げると、何かを語りかけたが、音声が無いのでわからなかった。
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