梗ヶ谷村

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俺は、車内に備え付けてあるナビのディスプレイで時間を確認するとPM10:12だった。 フロントガラスの先には暗闇の中から小さな羽虫が、ライトに吸い寄せられるように沸いてくる。 雄太「ある日、忽然と梗ヶ谷村の住民は全員姿を消した……だってさぁ」 雄太(ゆうた)はスマホで今、俺等が向かっている梗ヶ谷村の逸話を声にしていた。 仁美「マジ、本当に怖いんだけどぉ~」と後部席の仁美は怯えている。 俺「雄太、まだ着かないのか?」 俺はレンタカー屋で借りたセダンを運転している。視界にはライトで照らされた木々しか見えない。完全に山の中だ。 雄太「もう、少しで着くはずだぜ。サイトによると村の入り口には、立ち入り禁止の札があって、それが目印みたいだな」 浩二「それにしても、ここら辺ってマジで雰囲気あるよな~。ホントなんか出そう……」 俺「あれぇ~ビビってんのかよ」 雄太「浩二はビビりだからな」 浩二「怖いもんは怖いんだよ」 佳奈「でも、本当なのかな、その話?」 雄太「過去に梗ヶ谷村ってのがあったのは本当らしいよ。まぁ、突然村人が消えたってのは嘘だろうけどな」
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