53人が本棚に入れています
本棚に追加
佳奈「やっぱ、こわいよぉ……」
仁美「ねぇ……」と後部席の女子二人組みは、かなり嫌がっている様子だ。
俺「怖きゃ車の中にいてもいいんだぜ~」と後ろを振り向いて笑顔をつくる。
仁美「ひどーい!最低!」
俺「別に、最低でもいいですよーっと……雄太、車どうしよーか?」
雄太「レンタだからあんま傷付けられねーしな。とりあえず、そこの窪みみたいな所にくっつけとこうぜ」
俺「了解」セダンを前方にある道の脇の少し窪んだ場所に入れた。
俺たちは車内で全員、虫除けスプレーを浴びてホームセンターで買った懐中電灯を各自持って車を出た。
外に出ると夏の熱気で早くも肌が湿ってきた。それでも普段、都内で生活している分、田舎の夜は涼しく感じる。空を見上げれば無数の星が光っていた。
【立ち入り禁止】の表札の先を少し入って行くと、ボロボロに朽ち果てた有刺鉄線が行く手を阻んだ。
俺「チッ……煩わしいなぁ」錆びついた有刺鉄線をつまむ。なんとか除去しなければ先には進めなさそうだ。
浩二「どうすんだ?」
雄太「なんとか取れねぇかな」と言って鉄線を力で捩じ切ろうとすると。
――ブチッ……
いとも簡単に有刺鉄線は切れた。
最初のコメントを投稿しよう!