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俺たちは、木々や枝に囲まれた山道を道なりに歩き出した。相変わらず夜の森に生息する虫や動物の鳴声が森を支配していた。
仁美「客の大半はおじさんばっかりだからねー」
予想に反して全然怖くなく平凡な山道を歩いているので、みんなの緊張感は溶け始めていた。
俺「やっぱ、オヤジと寝たりすんのかー?」
仁美「する訳ないじゃん。でも中にはする人もいるみたいだけどねー。ペナルティとかあるしさぁ……」
浩二「キャバ嬢も大変なんだなぁ」と浩二がやけに感心していたのが笑えた。
その後も他愛もない会話をしながら進んで行くと視界が一気に開けた。視線の先には山の傾斜に沿って荒れ果てた畑が一面に広がっていた。
雄太「す……すげぇな、これ」
俺「やっぱり……ありそうだな、この先に村がさぁ……」
浩二「なんか、もう無いのかなぁって感じだったのになぁ……」
佳奈「なんか不思議な感じだよね……昔にタイムスリップしたみたい」
仁美「本当にそんな感じね……」
俺「よぉし、行こうぜ!楽しみになってきたな!」
畑の畦道にはカカシだった物が無造作に横たわっていたりした。
――うわぁっ!
俺の後ろで突然、驚いたような声が聞こえたので振り返ると雄太だった。
仁美「ど、どうしたのよ??」
雄太「い、今……なにか聞こえなかったか……?」度胸のある雄太が本気で狼狽えていた。
俺「いや、俺はなにも聞こえなかったけど……」
浩二「俺も、虫の声くらいだな……聞こえるのは」
仁美と佳奈も頭を振っている。
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