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ある意味、助かったような気持ちが心の中に広がっていった。
この日は、問題点が見つかった所でお開きになった。
「今日はありがとな。あと、待たせてごめん。明日も少し遅れるかもしれないけど、今度は急いでくるから」
「……そ。とりあえず、中学の基本からやるからそのつもりでいてよね。あと、一緒にはここに来ないでよ? 勘違いされると面倒だから」
私の頭には琴音の姿が思い浮かんでいた。
彼女ならば二人で勉強会を開いているなどと知ろうものなら、色々と勘違いをして口うるさくなるに違いない。
私にしてみれば、それだけが怖かった。
それ以外は正直どうでもいいし、言いたい奴には言わせておけばいい精神な訳で。
それを、結城がどう捉えたかなんて知らない。
「おー。……んじゃ、またな」
「ん、じゃあ」
簡単に一言だけ交わすと、私達は別々の方向へ歩き出した。
外の夕日が少し眩しくて、それを見た瞬間に私の脳内から結城智明のことは何処かへ飛んで行ってしまっていた。
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