第一講 磁石のような二人

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「じゃあ、もう行っていい?」 「お、おー。さんきゅーな、予定が空いてる日に図書室でっ」 「……ん」  まだ痛そうに顔を歪めているが、結城は無理矢理笑顔を取り繕いながらちゃんと落ち合う場所を指定していた。  そういう所はしっかりしている、と内心驚きながら感心していた。  だが、私はそんなことを一切顔には出さずに素っ気無い一言だけを残し、その場から早歩きで逃げ出した。  我ながらとんでもない依頼を受けてしまった。  色んな意味で、心臓が喧しくなっていた気がする。  そのあと何処を通って帰ったのか、私はよく覚えていなかった。  これが私達の関係を変えるきっかけになるなんて、お互い思いもしていなかっただろう。
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