第6団体

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「フンフンフーン……フンフンフーン……。」 歩く。 歩く。 歩く。 「フンフンフーン……フンフンフーン……。」 邪魔なナニかの残骸を勢いよく蹴り、砕く。 「フンフンフーン……フンフンフーン……。」 道を阻むものは何一つとして存在しない。 阻む物があろうと気にせず破壊する。 阻む者がいれば一切の容赦も慈悲もなく殺す。 さながら気分は王様。 自分がしたいように、好きなように動く王様。 それは暴君。 あぁ、なんて気分がいいんだ。 最高。 痛快。 愉快。 どれにでも当てはまり、どの枠にも収まることはない。 こんなにいい気分になったことはこれまであっただろうか? 否。 決してない。 どんな達成感だろうと幸運だろうとこの魂を直接揺さぶるような高揚感は決して得られないと断言できる。 満たされていく。 潤っていく。 空のグラスに水が注がれるように。 ひび割れた大地に雨が染み渡るように。 まるで長年の望みが叶ったかのような充実感。 だが足りない。 グラスは乾き、一度は潤った大地は再び干上がる。 もっと感じたい。 満たされたいと俺が叫ぶ。 俺は俺を感じる。 俺の本質はこういうモノだったのかもしれない。
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