第19団体

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麻痺の魔法でも使えたならば痛みなんて無視して作業が進めるというのに場所が場所だけに大雑把な効果な魔法なら危険だし、そもそも件のオススメのせいで麻痺はおろか即死レベルの毒までが効かなくなっているのだ。 だから苦痛に耐えながらゆっくりとやるしかない。 幸いというかなんというか、指という異物が入ったせいで涙が止まらず目が乾かないことが救いである。 が、苦痛という点に関しては何も変わりがない。 寧ろ生々しさが増しただけである。 ある程度指が沈んだことを感触と魔法で確認してクイッ…クイッ…と眼球を掬い上げるようにしながらゆっくりと引き上げていく。 やっとこの作業に入ることができるだけあって呼吸を止める。 心臓の鼓動は仕方がないと割りきるが呼吸の振動は大きく邪魔にしかならない。 震え即ち失敗に繋がるのだ。 無駄な部分を怪我する可能性もあるし、『バジリスクの石眼』よりもずっと柔らかい俺の眼球を傷つけかねない。 普通に目潰しを食らっても砂が入った程度にしか感じないとはいえ、俺とは力が違いすぎるのだ。 視神経が繋がったままの眼球を潰して穴をドロッとした液体なんかで満たしたくないからな。 ちょっとずつ眼球が持ち上がってきた感じがする。 そしてその感じと共にプチプチと音にならない振動が体の中で響く。 そして段々と左目の視界が赤く染まりながら段々と薄れていのだ。 持ちたくもない嫌な実感。 半端じゃなく気持ちが悪い。 異物感は増す一方だし、眼球の収まっている内側というどうしようもない場所が酷く痛む。 最悪。 不快だ。
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