第3団体

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「これからダンジョンに突入する!」 全身フル装備で顔に傷痕などもある冒険者というよりも歴戦の兵士というような風貌のリーダーがいつものように堅っ苦しく喋る。 何時もなら煩いと感じていたあたしにはそれが今回ばかりは頼もしく感じる。 あたしにとっての初めての冒険がまさかあの悪名高きダンジョンになるとは思いもよらなかった。 まだ腰のショートソードの重みにも馴れていないような駆け出しの冒険者だったあたしは先週、幸運にもこの冒険者パーティー『ノストルム』に加えて貰えた。 駆け出しの上にソロだっていうのにここら一帯じゃ中堅組のパーティーにいきなり加えてもらえたことは幸運だ。 冒険者パーティーは直ぐに壊滅したり分裂するために中堅と呼ばれるパーティーや上位のパーティーなんてものはなかなか現れることはない。 中堅組と呼ばれるような冒険者パーティーは上位のパーティーには及ばないものの十分な実力を持っていてチームワークも高い。 ソロで入ったり冒険者パーティーを新しく組むよりもずっと安全に強くなれるだろう。 でもダンジョンに入るのは正直怖い。 古来より存在していて何人、何百人、何千人という冒険者たちを飲み込んでいったダンジョンだ。 何があるか全く分からない。 「このダンジョンはつい先日に新しく確認されたものだ。今のところ生還者はゼロ。中に何があるのか何がいるのかも全く分からない。」 リーダーの話が続いているが正直頭には入ってこない。 口の中がカラカラになって足も震えてくる。 いくらなんでも始めにしたら難易度が高すぎだ。
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