第3団体

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「アシャちゃん緊張しない緊張しない」 ビクッ……。 いきなり肩を触られて驚いてしまう。 「アシャじゃなくてアーシャです。何度も言ってるじゃないですか先輩」 肩に置かれていた手を退かして距離を置く。 ごめんごめんと謝ってくるけどあたしはこの人が苦手だ。 このパーティーに誘ってくれたのは先輩で感謝してはいるが気を許せない相手でもある。 普通に街を歩くようなラフな格好の上から最小限の防具しかつけていない上に耳には幾つもピアスをつけて髪もツンツンに立てているおかげで軽い人みたいな風貌をしている(というか実際に軽い人)せいで初めて話しかけられた時はナンパかと思ってしまった。 直ぐに会った女の人(美人限定)に話しかけるような病気持ちだ。 お陰で一応は信用しているみたいだけどアーチャーのミューさんと僧侶のアミさんもなるべく二人きりにならないようにしている。 なんであんな人とミューさんやアミさんみたちな美人が一緒のパーティーにいるのか疑問だ。 でもお陰でいつも暗い雰囲気にならないし、先輩とは逆に堅すぎるリーダーとのバランスが取れていることはこの短期間でも良くわかっている。 「アーシャちゃん、こんな変態だけど強いから宛にして大丈夫だよ」 「そうですよアーシャさん。こんな変態ですけど」 「うわ、ひでぇ」 ミューさんの攻撃とアミさんの追撃で弱冠先輩が凹んだようになってミューさんはあははと明るく笑い、ミューさんはくすくすと上品に笑う。 明るい雰囲気。 緊張感がいつのまにか消えていた。 「では、突入する!」 初めての冒険の始まりだ。
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