第3団体

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「キャッ!」 後ろから短い悲鳴。 アミさんが腕を押さえて蹲ってしまう。 ヒュンとミューさんが矢を放ち、アミさんを攻撃しようとしていた真っ黒なまるで人の影のような神出鬼没なモンスター『シャドウアサシン』が四散することで大事には至らなかったが、あたしだけでなくリーダーや先輩でする接近に気付けなかったというのは注意散漫になっていたとしか言いようがない。 「アミ、無事か?」 「はい…ミューのお陰でなんとか命拾いしました」 「アミちゃん、早く傷をふさいだ方がいい。傷からもしも瘴気が入ったら大変なことになる」 戦いながらでもリーダーが声をかけたり先輩が助言をしたりしているがあたしにはそんな余裕はない。 モンスターが増え続けながらもそれに対処するだけで精一杯。 モンスターは一体一体が弱すぎるせいで入る経験値も少なく、レベルアップを知らせるファンファーレもあれだけ倒したというのに鳴らない。 ストレスが溜まるし、限界もある。 じり貧状態が続いている上に精神てきにも辛い。 実際そのせいで注意力が散漫になってアミさんが怪我を負うことになってしまった。 なにか打開策がないとこのまま物量で押し潰されてしまう。 「一転突破をするぞ!俺の次の攻撃を合図に突き進め!殿は俺が務める!」 そう言ってリーダーはこれまでとは違い大剣を肩に担ぐように持つ。 「『ブレイク』!」 振りおろされる大剣はその衝撃を撒き散らして直線上にいたモンスターを悉く粉砕した。
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