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「はぁはぁはぁ……」
唐突に立ち止まる荒い息をしたアミちゃん。
ゴーストは群れをなして変わらず追いかけてくる。
「はぁ…私はもう走れません…はぁはぁ……その代わりにここでゴーストを惹き付けて劣りになって待っています……」
アミちゃんは木目のまだ新しい杖を泥の地面に突き立てて通路の中央で仁王立ちとなる。
その杖とアミちゃんを中心に広がる柔らかく暖かい純白の光。
神に祈りを捧げ続け、闇を払うという高位の僧侶の証である神聖魔法の奥義の入り口。
未熟者が使えばその代償は大きい。
完全にはコントロールできていないようで無駄な魔力を周囲に撒き散らし、見る見る内に体内の魔力が枯渇していき顔色が悪くなっていく。
それでも魔法が発動し続けているのは一重に仲間を救おうという心と信仰心の強さだろう。
「アミちゃん、ダメだっ!」
「そうよ、アミ。一緒に行きましょう」
必死に呼び止める。
このままでは彼女は死んでしまうだろうから。
「……それは無理です」
だが現実は非情だ。
「もしも私が今魔法を解けば大量のゴーストが襲いかかって来ます。そうなったらパーティーは全滅ですっ!
だから行ってください…」
この状況が。
自分たちの不甲斐なさが、非力さがもどかしかった。
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