第3団体

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リーダーは抵抗することもなく『クレイハンド』に掴まれ、泥沼の中に引きずり込まれていく。 そしてジワリジワリと集まっていく『スライム』。 だがオレには何かをできる術は残されていない。 「リーダーから離れろーーー!」 「バカっ!やめろっ!」 流れるような手つきで背中の矢筒の中から矢を取りだし、弓につがえ、オレの阻止する声も虚しく放たれる。 矢は雑魚モンスターは貫いて遂にオレが止めさそうとした元凶に突き刺さった。 それは真っ黒な『スライム』。 最も恐れられる『スライム』種の一つ。 『ダークスライム』。 「きゃっ……。」 拡散する目に見えるレベルにまで凝縮された黒い霧。 瘴気。 あそこまで濃くなってしまったらアミちゃんレベルの僧侶が張ってくれた物じゃあ防ぎ切れない。 「ゴホッ…ゴホッゴホッ…」 咳き込む。 直ぐに息をするのを止めたがどうやら吸ってしまったようだ。 喉の奥から血の臭いがする。 目からは涙が止まらず、空気に触れた素肌はヒリヒリと傷む。 それともう一つオレは見てしまった。 壁から唐突に現れる奴の姿を。 ここに居る最後の仲間が悲鳴を上げることもなく貫かれたのを。 ゆっくりと薄れていく瘴気。 そこに現れたのは胸から黒い棘を生やしたミューちゃん。 その表情は驚愕。 もう事切れている。 即死だ。
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