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「こんな身近に強者がいたと気付いていれば直属の部下にしたかったよ。」
ん?
予想とはなんか違うぞ?
それどころか何だか都合の良い方向に流れかかっているような気さえする。
「いや、今からでも遅くはない。すぐにでも手合わせしようじゃないか」
ヤル気満々といった様子で、立ち上がって壁に立て掛けてある鞘や柄に華美な装飾を施されたバスターソードを掴み意気揚々と部屋から出ていこうとする。
俺の意思を無視して。
階級的に俺が逆らえるはずがないが職権濫用もいいところだ。
正面に立っていて痛々しい程に感じた視線と気迫はこのせいだったのか。
文武両道のイケメン貴族様かと思いきや、思考が思いっきり武の方に傾いた只の戦闘ジャッキーじゃないかよ!
なに俺?
結局、斬り合う結果しかないのかよ!
俺の意思を汲み取ってくれる筈もなくそのまま歩いて行ってしまう。
一瞬だけ扉の前で俺の方を向いたから思い止まってくれたのかと思いきや、「何しているんだ?早く行こうじゃないか」なんて言い始める始末。
俺にはもうどうしようもない。
そして遂に閉ざされていた扉が開けられる。
「ドルムノーラ様、お待ち下さい。」
助け船キター!
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