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路地裏に入ると急に人気がなくなり、まわりの建物から様々な話し声が聞こえる。
角を曲がれば小料理屋だ。
店の灯りが僅かに見えるところまできた。
その僅かな灯りに人影が映った。
人影は徐々に角に近づき、同時に自分にも近づく。
歩くペースもまるで同じだ。
それは相手が自分に合わせているように思えた。
コン、コン、コンと靴音が聞こえ、それが不意に止まった。
それにつられて、なぜか自分も立ち止まった。
自分でも不思議に思いつつ、再び歩みを進めた。
角を曲がると、立ち止まっている相手と目が合った。
外国人の男のようだ。その外国人は目が死んでいる。自分を見た後は、遠くを見ているらしい。
ふと、目線を下ろすとナイフを握りしめている。果物ナイフか?やけに冷静になった自分が怖かった。
目の死んだ外国人の男は無言のまま、そして宮野もまた、無言のまま果物ナイフがブスッという音を立て、宮野の下腹部に刺さった。
両人は相変わらず無言だ。
宮野は悲鳴を出すわけでもなくその場に崩れ落ちた。外国人の男が小走りで立ち去り、宮野は意識が遠のくなかで何を考えたのか。
宮野は無言のままうなだれ、絶命した。
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