傷心

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私は不安な面持ちで碓氷さんに目を向けると私の視線に気づいた碓氷さんが軽く頷いた。 それは大丈夫だよ。と言ってくれているようで少しだけ安心する。 作業している間はとても長く感じた。 「建築部から作られてるのは間違いないですが松本さんのPCから作られてはいないようですね」 部長の言葉にホッとする。 「う……そ……」 早瀬さんが小さく呟く。 「ではどこから作られたか調べていただけますか?」 碓氷さんがいつもの調子で言った。 部長はまたPCを操作し始める。 暫くして部長が顔を上げた。 「早瀬さんのPCです」 「嘘よ!」 早瀬さんが声を上げた。 「そんなはずないわ。私のPCには誰にも解らないようにパスワードが……」 「なら尚更あなたしか作れないって事じゃないんですか?」 碓氷さんが静かに言った。 早瀬さんがハッとしたのが気配で解る。 「あなたは松本さんが自分のPCで作成しているのを見た人がいるとおっしゃいましたね。でも実際は作られていない。それどころか出所はあなたのPCだ。これは一体どうゆう事ですか?」 「私じゃない。私のPCでは作ってない」 「では松本さんのPCで作ったということですか?あなたが」 「あっ……」 早瀬さんが言葉を詰まらせた。 大勢の前で自分がやったということを半分肯定した事になる。 「だんまりですか。では松本さんが作成してるところを見たという方を教えていただけますか?」 さっき早瀬さんを取り巻いていた女子社員達は下を向いて知らん顔をしている。 そんな人はいない事を私も碓氷さんも知っている。
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