傷心

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「証拠はあるのか?」 課長が早瀬さんに聞く。 「証拠?証拠ならあるわ」 そう言い早瀬さんは鞄から一枚の写真を取り出した。 「これよ。これが何よりの証拠」 その写真が私と課長が抱き合ってるものだった。 他の社員も驚いた顔でその写真を見ている。 もう完全にバレた。 「ふんっ。そんな物が証拠になるか」 課長が鼻で笑って言った。 一体どうゆうこと? すると隣にいた碓氷さんが歩き出し早瀬さんからその写真を取る。 「よく出来た合成写真ですね」 と言った。 「合成写真?」 早瀬さんは驚いていた。 いやいや私も驚いた。 「副社長はこんな安物のスーツなんて持っていません」 えっ? 私もちゃんとはっきり写真が見たくて碓氷さんの側まで行った。 碓氷さんは私にその写真を渡す。 「あ……」 これ……私じゃない……。 私はてっきりこの前の歓迎会の時に取られた写真だと思っていたが違っていた。 どこかの店の中の写真には違いないが課長とこんな所に行った覚えはない。 それに……。 「私もこの服持っていません」 「という事ですが?」 そう言って碓氷さんは私から写真を受け取ると早瀬さんにその写真を返した。
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