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「お前。あいつの事心配してるのか?」
「心配なんてしてません。でも今後の事もあるし……」
「私が自主退職を進めました」
碓氷さんが平然とした声で言った。
「退職ですか?」
「あんな問題を起こしては彼女もこの会社には居ずらいでしょう」
「確かにそうでしょうけど……」
地方に飛ばされるのかと思っていた。
「彼女も被害者でしょうから子会社への移動も考えたのですが……」
碓氷さんがチラリと課長を見た。
「俺の可愛い部下を苦しめたバツだ」
課長はそっぽを向いた。
「早瀬さんはそれで納得したんですか?」
千恵が碓氷さんに聞く。
「納得はしてないでしょうね。ですが彼女も子供じゃない。彼女も自分の立場を解っていると思いますよ」
「暫くの間、早瀬にはSPをつけておく。もしかすると沢田と接触するかもしれないからな。そうなれば黒幕が沢田だってハッキリするかもしれないからな」
課長達はただで早瀬さんを逃がすつもりはなかったって事。
ちゃんと色々と考えていたんだ。
早瀬さんの事は可哀想だが仕方がない。
彼女にも大人の責任を取ってもらわないと。
当然の報いだ。
でも早瀬さんが会社を退職したところでひよりの心が元に戻るのだろうか。
「課長。ひよりの事なんですけど……。」
「ん?岡か?あいつなら大丈夫だ。心のケアをしてくれる奴を送っといたから」
「「はぁ?」」
私と千恵が同時に言葉を発した。
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