傷心

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「美由。どうした?」 今日は久しぶりに課長に家まで送ってもらっている。 とはいっても運転しているのは碓氷さんなんだけど。 千恵は川東部長と待ち合わせしてたようで先に帰ってしまった。 「これで終わるんでしょうか……」 私がずっと感じている胸騒ぎ。これが晴れない。 沢田さんが言っていた裏切る人というのはひよりの事なのだろうか? ううん……。 ひよりは私を裏切ってはいない。 裏切れないから苦しんだんだ。 じゃ早瀬さん? あの人は別に親しい人でもなかったしただ奥田物産での先輩ってだけだ。 そう考えるとまだ何かありそうな気がして怖い……。 「終わりだよ。って言いたいところだけど序曲だろうな」 私は課長を見上げた。 「あいつは頭がいい。これが俺を陥れる為の成功だとは思ってない。結局他の社員には俺達の事はばれなかった。今頃他の手を考えているだろうよ」 私もそう思う。 沢田さんはきっとまだ何か仕掛けてくるに違いない。 課長が無事に会社の後を継げるまで油断出来ない。 私は彼女として課長を補佐しなくちゃいけない。 でも私には能力も技術も持ってない。 ならせめて足手まといにならないようにしなくちゃ。 そう心に誓った。
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