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「付き合おうよ。遊びでいいから」
そう言って竹内さんが近づいてくる。
この人だったら何も考えないで付き合えるのかもしれない。
そう頭が過ぎる。
竹内さんの手が私の頬に触れた。
「あれ?抵抗しないんだ。それってOKって事?」
竹内さんと近距離で目が合う。
キスされる!そう思った。
目をギュッと瞑って事が終わるのを待つ。
けどいっこうに唇には何も感じない。
私はゆっくりと目を開いた。
思いの他竹内さんの顔が近くにあって一歩後ろに下がった。
「キスされると思った?」
そう言われて顔がボッと熱くなる。
まるで期待してたみたいじゃない。
「悪いけど……。俺は本気の女としかキスしないの」
そう言って私の身長に合わせて屈んでいた体を起こした。
「俺は本気の女以外と付き合わないし、キスもその先もしない。ひよりちゃんも一緒でしょ?」
私は何も答えなかった。
「人を見かけや性格で判断するなんて小さい人間のすることだよ。大事なのはここ」
そう言って自分の胸をドンと叩く。
「どんな事があっても疑わない心。そして人を思いやれる大きな心だよ。そんな男と早く巡り合えるといいな」
そう言って私の頭を撫でた。
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