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近くにいる人に救急車を呼ぼうと声をかけようとした時女性は鞄を指差した。
何か入っているのか……。
私は女性の持っていた鞄を開けるとピルケースを見つけた。
私はそれを取り出すと急いで近くにあった自販機で水を買うと薬を手渡した。
苦しそうにしながら女性はその薬を飲むとゆっくりと呼吸を繰り返す。
五分もすると大分落ち着いたようだ。
私はそっと胸を撫で下ろす。
「大丈夫ですか?」
私はもう一度声をかけた。
汗をかいている女性の額をハンドタオルで拭いてあげる。
「ご迷惑をおかけしてすみません」
ようやく女性から声が聞けて安心した。
彼女は心臓病を患っているのだろう。
きっと急な発作が起こったにちがいない。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
そう言って彼女は起き上がった。
まだ息の荒い女性をこのまま放っていくのも気が引ける。
私は携帯を取り出すと部長に連絡した。
きっと帰りが遅くて心配すると思ったから念の為に……。
部長はもう夕方だからそのまま直帰してもいいと言ってくれた。
「お家までお送りします。近くですか?」
私がそう聞くと女性は頷き「すみません」と小さな声で言った。
歩いて五分もすると女性の家に到着した。
オートロックつきのマンション。
ここまで来たんだし玄関まで送ろうと私は女性と一緒に敷地に入った。
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