偶然の恐怖?

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「まさかあんたがうちにいるなんて……。偶然に感謝だな」 「近づかないで!」 もうこうなったら怯んじゃダメだ。 「そんなにビビんなくていいよ。今日は休戦だ」 えっ? 沢田さんにとっては願ってもないチャンスなはずなのに休戦? 意外な言葉に私は驚いた。 まぁそのチャンスを生かしてくれない事に感謝はしてるけど……。 「母親……。もう知ってると思うけど心臓が悪いんだ。最近になって更に悪化してるみたいで発作もたびたび……。偶然とはいえあんたに助けてもらって本当に感謝してる」 沢田さん……。お母さんが大好きなんだ……。 「私じゃなくても誰だって苦しんでる人がいたら助けますよ。私は当然の事をしただけです」 沢田さんは私の顔を見てため息を吐いた。 「あんたって本当に肝が座ってんな。普通この状況で何があっても言い訳できないのに……」 「確かに沢田さんは私にとって敵です。ひよりの事だって本当は沢田さんが仕組んだ事だって疑ってます」 「ふーん。ただのお人よしじゃないんだ」 「やっぱり沢田さんが?」 「だとしたら?」 沢田さんがジッと私を見る。私も目を逸らさず言った。 「だとしたら、一生許しません」 あはははは。 突然沢田さんが笑い出した。 「あんたはその一生許さない奴と今こうして一緒にいるわけだ」 沢田さんは笑いながら言った。
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