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「奥田物産建築部デザイン課の課長よ」
千恵がコーヒーを飲みながら言った。
今は昼休み。
もうすぐここに来る事はなくなるであろう役員専用の食堂でランチをしている私達。
千恵は社長秘書なので全社員の異動先を知っていた。
だから山下さんの異動先も聞いたんだけど……。
「建築部デザイン課の課長って……。私達の上司になるって事？」
「そうゆう事になるわね」
「上司って言えばさぁ」
ひよりが横から話に入ってきた。
「また奥田課長も上司になるんだよね」
「まぁ……そうかな？」
取締役でも一応上司か。
「もう課長って呼べないね」
ん？
「だって奥田副社長じゃない。副社長か……。なんか萌え」
「バカ」
私はひよりの頭を小突いた。
「一緒の会社にいられるのは嬉しいけどなんだか複雑なんだよねー」
「何が？」
ひよりが頭を摩りながら聞いていた。
「もし私と課……副社長の関係がばれたらと思うとさぁ」
「何で？別にいいじゃん」
ひよりは知らない。
奥田物産で課長がどれだけモテているかを。
それをよそ者の私が恋人だってバレた暁には……。
あー恐ろしくって想像したくない。
「平和に過ごしたい」
私はため息混じりに言った。
「その辺は副社長も考えてるだろうし大丈夫じゃない？」
千恵が慰めるように言った。
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