31732人が本棚に入れています
本棚に追加
課長は会う度に迫ってくるのだか私がそれを拒んでいるからだ。
決して嫌だって訳じゃない。
私だって課長とそうなりたいと思ってる。
だけど……。
課長は奥田物産の副社長。
深夜遅くまで仕事をしているはず。
前に一度だけいい雰囲気になったのだが課長は疲れていたのか途中で寝てしまった。
だからエッチをしてる時間があるなら寝かせてあげたい。
私はそう思っているのだ。
鳴っていた電話は一度切れたがまた鳴り出した。
「美由が出ないなら私出よう」
とひよりが電話に出てしまった。
『何で一度で電話に出ないんだ!』
離れているのに課長の声が聞こえてきた。
「美由は今手が離せないんですぅ」
ひよりはその声にビビリもしないでふざけた感じで言った。
課長は誰だか解ったのだろう。
声が聞こえなくなった。
ひよりは楽しそうに話をしている。
そして「はい」と電話を手渡された。
「いいよー」
私小さい声で言った。
「課長が代わってって」
はぁとため息を漏らし渋々電話を受け取った。
「もしもし」
『お前、俺の事嫌いか?』
突然言われて驚く。
「何ですか急に。そんな訳ないでしょ」
『本当は無視しようとしただろ。俺の電話』
ズバリと当てられてドキッとする。
「そ……。そんな事ある訳ないでしょうが」
私の言い方は肯定そのものだった。
最初のコメントを投稿しよう!