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~美由~
朝目を覚ますと隣で課長が寝ていた。
少し驚いたが課長の安らかな寝顔を見て昨日お父さんとちゃんと話が出来たんだなとホッとする。
まだ寝かせてあげたいが昨日帰る予定だったのだがら今日予定があるのだろうと思い課長を起こす。
昨日遅かったのだろう。なかなか起きなくて手こずったが何とか起こしてリビングへ向かう。
リビングには両親が揃っていて朝食の用意がしてあった。
母親に顔を洗うよう促され二人で洗面所に向かう。
髪を整え、二人並んで歯を磨く。
何だろう……。何だか不思議な気分だ。
「何だよ」
課長が鏡越しに話しかける。
「ううん」
私は首を横に振る。
どうも課長は気になった様でもう一度何だよと今度は腰をぶつけてきた。
私は苦笑いをしながら答える。
「いやね。貴史さんがうちにいるなーって」
「はぁ?」
口を漱いでいた課長は水を吐き出しながら言った。
「何だそれ?」
「何か変な気分なんだよね。私の実家に貴史さんと並んで歯を磨くシチュって。なんて言うか……。くすぐったい気分?」
課長が少し驚いた顔をしたがすぐに元の顔に戻り私の頭をクシャリと撫でた。
「これから何度もある事だろ。慣れろ!」
先行くぞと最後に付け加え洗面所を出て行った。
私は慌てて口を濯ぐと課長の後を追った。
朝食を食べ終え、身支度を整えた私たちは実家を後にする。
車のシートに深く腰掛けるとドッと疲れが出てきた。
「どうした?疲れてるのか?」
あんな気持ちよさそうに寝てたのにか?と課長は笑いながら言う。
すみませんね。と思いながら目を瞑る。
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