それってマリッジブルー?

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でも……。私よりも課長の方が疲れているだろうなとふと思う。 私は自分の親だから気を抜ける時間はあったけど課長は……。 ましてや今回は結婚の報告をしに来たのだ。いつも何事にも余裕でこなす課長でもさすがに緊張しただろう。 ……したよね? 私は薄目を開けてチラッと課長を見る。 真剣に前を向いて運転している課長の横顔はやっぱりカッコいい。 もう一度目を瞑り昨日の事を思い出していた。 課長が私の両親に……。それにしても……。 フフフ……と思わず顔がにやける。 そんな私の様子に課長が気が付かない訳がなかった。 「何だ。気持ちが悪いな」 気持ち悪いってひどいなぁと思いながら私は体を起こす。 「何でもないです」 今思ってる事を口にしたらきっと課長は怒るだろうなと思った。 「怒んねーから言ってみろ」 「えっ?」 思ってる事を言い当てられ思わず声が出た。 もしかして課長も山下さんと同じでエ……。 「俺はエスパーじゃねーからな」 「やっぱりエスパーじゃないですか!」 「ふざけてねーで早く言え!」 正面を向いたままの課長に頭を鷲掴みされる。 これがまた地味に痛かった。 「そんな大した話じゃないんですけど……」 私は頭を摩りながら言った。 「意外だったなぁと思って……」 「何が」 「貴史さんの挨拶が」 「挨拶ってお前の両親へのか?意外ってなんだよ」 どうやら課長は不満のようだった。
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